


人にも、自然にもやさしい「家」を目指すフランク・ロイド・ライトが設計した「カウフマン邸」、別名「落水荘」が竣工したのが1939年、昭和14年のことです。
このカウフマン邸は、天然の滝の上に突き出すようなかたちで建てられています。
しかし、それのみならず、その場にあった天然の岩盤の一部が室内装飾にとりいれられているなど、理論上のことではなく、実際に「周囲の環境と一体になること」を実現した建物でもあります。
このように、モダン・デザインによる住宅は、その初期の段階から、自然との共生を重要なテーマとして掲げてきました。
カウフマン邸の竣工時、すでに欧州は戦争状態にあり、その翌々年には、わが国とアメリカ合衆国も戦争状態に入ります。
その後、戦後の復興から高度成長期へと時代は移り変わり、モダン・デザインは工業化の流れの中で、効率性を追求する方向へと進化していきました。
しかし、80年代から90年代にかけて、工業一辺倒だった時代への反省の機運が持ち上がり、モダン・デザインは再び、自然との調和を目指すようになります。
沖縄県名護市役所を設計した「象設計集団」は、沖縄という気候風土の中で、エアコンに頼らず、風の流通によって涼味を得ようとする試みをしました。1981年のことです。
階高を大きく確保し、天井裏に放熱、通風のためのスペースを設ける。各階に広いテラスを設けて、そこに天井をかける。木陰効果を最大限に生かすために、緑を計画的に配置する…屋上も緑化する…
「クーラーのいらない庁舎」という当初の目的のすべてが達成されたわけではないようですが、オーガニックな建物のお手本として、今も高い評価を受けています。
モダン・デザインはシンプルを旨とします。そして、本来、モダン・デザインは、そのことによって、自然環境にとっても「生成り」のデザインを目指したということもできます。
自然と調和しながら生きる。
そう考えた方が、人にとっても、自然にとってもやさしい「家づくり」ができるはずです。
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