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コラム

SIMPLEということ

ル・コルビジェが設計したいくつかの住宅。例えば「ラ・ロシュ・ジャンヌレ邸」や「プラネクス邸」のように、1920年代につくられ、今も現役で、家族の城となってる作品が、パリ市内にもいくつかあります。

どの家も築80年以上。しかし、祖父母の代から、そのお孫さんの世代まで、その家で暮らし続けているというご家族も少なくありません。

モダンの創世記、シンプルな直線で構成されたモダン・デザインの家は、装飾性という面では、やっぱり寂しい印象があるという評価は、欧州でも根強くあったようです。

しかし、コルビジェの家に暮らし続けているご家族は、そのシンプルさこそ、その家に暮らす人々が自由に解釈できる「余地」なののだといいます。

 

あるご家族は窓辺に花を飾る。また、あるご家族は本を並べる。

 

食器を飾る、そのまま、窓の外の緑を借景する…

 

モダン・デザイン創世から、80年以上を経て解ったことは、シンプルだからこそ、その家に暮らすご家族が、自由に、自分の個性を際立たせることができるということだったといえます。

 

また、シンプルな住宅は、ご家族の自由な暮らし方だけでなく、そのシンプルさ故にどんな時代をも受け入れてきました。

 

コルビジェが家をデザインした1920年代、パリはアール・デコの時代です。

 

その時代から30年代にかけては、パリはアバンギャルドなアーティストの活躍の場でもありました。

第二次大戦を経て、50年代末にはヌーベル・バーグ。60年代末には学生運動の時代。そして80年代末には、アフリカ、アジアの文化に大きく影響を受けたエスニック・ムーブメントが始まる。

さらに、そこから近代への反省と見直しの機運が高まり、やがて、その機運はオーガニックという考え方に結びついていく…

そうした中で人々のファッションも、価値観も大きく様変わりしていきますが、モダンの傑作は、そうした変化を鷹揚に受け止めていきました。

家族の自由な発想をなんなく受け入れてくれる。時代の変化にも鷹揚に構えている…

そのシンプルさ…

これこそが、世代を超えて暮らし続けられるモダン・デザインの家の魅力です。

 

>> 調和するモダン